仮想通貨のトラベルルールとは?オンカジへの影響を解説

仮想通貨カジノの世界に一石を投じた、トラベルルールの施行とは?

仮想通貨取引におけるトラベルルールの対象者や施行する目的、トラベルルール施行後に生じる影響などを、わかりやすく簡単に解説していきます。

トラベルルールとは

トラベルルールとは、暗号資産・電子決済手段の移転に係る通知義務のことで、FATF(※Financial Action Task Force:金融作業部会)と呼ばれる国際組織が、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策についての国際基準(FATF基準)において、各国の規制当局に対し導入を求めているルールを指します。

具体的なトラベルルールの内容は、暗号資産交換業者(仮想通貨取引所)に暗号資産を送金する際に、その送金元・送金先に関する情報を取得し、送金先である仮想通貨取引所に通知することを求めるというものです。

トラベルルール

※FATFとは、マネーロンダリングやテロリストへの資金供給を防ぐ対策の基準をつくる国際組織のことで、欧州各国やアジア諸国の加盟国・地域など約40カ国で構成されています。

※VASPとは、暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者のことを指します。

トラベルルールの通知事項とは

トラベルルールの通知事項とは、先に述べた「送金元・送金先に関する情報」のことで、金融庁が公表した資料には、通知事項は次のように示されています。

トラベルルールの通知事項

トラベルルールはいつから?

トラベルルールは、2021年3月に日本の金融庁から日本暗号資産取引業協会に要請、2022年4月1日から段階的適用がなされ、日本国内の暗号通貨取引所の多くが随時このトラベルルールに対応してきました。そして2022年10月1日を本施行日とし、今現在も各取引所で随時追加対応がなされている状況です。

トラベルルールの対象者は?

トラベルルールの対象者は、基本的に仮想通貨取引や電子決済取引を行うサービスの利用者全員です。

トラベルルールの目的は?

トラベルルールの目的は、マネーロンダリングなどの犯罪や、テロリスト等の犯罪者が悪用することを防ぎ、不正利用があった場合にその取引経路の追跡を可能にすることです。

トラベルルール施行後の影響

トラベルルール施行後の影響として、利用者は、さきほど紹介した個人情報などの通知事項を提供しなければならなくなりました。

実際にいくつかの暗号資産交換業者の利用規約やFAQを確認したところ、多くの業者が次のような情報の提供を求めています。

  1. 送金者の氏名
  2. 取引に利用される送金者のアカウント番号
  3. 送金者の住所およびID・マイナンバー等個人を識別できるもの
  4. 送付目的
  5. 受取人の氏名
  6. 取引に利用される受取人のアカウント番号
  7. 受取人が本人以外の場合には、受取人の氏名や関係性

これらの通知情報(提供を求められる情報)は、暗号資産交換業者によって多少異なったり、取引状況に応じて追加の情報提供を求められる場合もあります。

最近はトラベルルール施行によって、仮想通貨カジノへの入出金が理由で取引が停止となった事例も発生しています。

トラベルルールに関するよくある質問

仮想通貨のトラベルルール、何がかわる?
仮想通貨のトラベルルールが施行されたことで、仮想通貨を送金する際に詳細情報を通知せずに資金を移動させることができなくなりました。これによる利点は、仮想通貨を第三者などに悪用されたとしても、取引経路を追跡することが可能で、不正利用の抑止力が高まります。
トラベルルールを回避するには?
トラベルルールを回避するには、現状ではアンホステッド・ウォレットの利用が有効ですが、アンホステッド・ウォレットとの取引は、その匿名性や管理者による移転制限の欠如によるリスクが存在し、FATFでも対応の必要性が指摘されています。日本においても対応を検討しているようなので、今後利用できなくなる可能性は大いにあります。